2018年10月22日
太極拳では、必要な力をいつでも出しています。
太極拳の稽古が進んで、余分な力が抜けてくると、
今度は必要な力(いわゆる勁力といものですね)を
出すようにします。
出すといっても、ON・OFF を繰り返して力を出す、
というのとは違います。
太極拳では、常に外に張り出している力の存在が求められます。
掤勁というものですね。自分の身体が風船のようになっていて、
常に外に向かう力が存在している感覚です。
これは、手足を伸ばして、身体を広げる時はもちろん、コンパクトに
手足をたたむ際も、外へ向かう力を維持しなければなりません。
この掤勁の身体感覚は日常生活にはないものです。
ですから、しっかり先生について習わないと習得が難しいかもしれません。
習得の時間を短縮するための練習が「站椿」です。太極拳の型稽古は
やる事や維持する意念が多い為、掤勁に集中する事が難しいのです。
しかし、まじめに稽古に取り組んで、対人訓練もしっかりこなしていくと
太極拳独特の力の出し方と、その効果がはっきりとわかってきます。
例えば、大東流でいう合気上げのような事が。掤勁を使う事で
出来るようになります。また相手の身体に浸透させるような打撃も
可能になってきます。
そうした身体を創ることが、太極拳の型や鍛錬の主たる目的です。
太極拳の型は、相手がこう来たらこう対応する、的な訓練が主でありません。
「太極拳の身体」というべきものを作ることが主たる目的です。
太極拳の身体が出来れば、例えば柔道投げ技を使っても、本質的にその技は
太極拳の技となります。
型稽古は、そうした得難い身体を何とか得るための道標です。
2018年10月08日
南拳の使い手、来る
<画像はうちのお弟子さんの金鷹拳です>
先日、ホームページを見た方からメールを頂きました。
蛯名の方で、客家拳・南拳を長くやってきた方です。
その方は、太極拳や形意拳などの北派拳法には
興味が無いとの事で、金鷹拳を体験したい、という
事でした。
金鷹拳は南派由来の拳法ですが、立ち方や動きが軽やかで
趣は北派のようです。
金鷹拳独特の受けの動きも、腕の力で避けるようですが、
実は全く違う事の為に練習しているのです。
蝶が舞うように、フラッフラッという動きも特徴的です。
そんな事で、重厚な南派拳法が好みだった人には、ちょっと
違うようでした。
あまり盛り上がらなくて、ちょっと残念でした。
2018年07月16日
太極拳では余分な力を抜くことが大切です
太極拳では、まず余分な力を抜くように指導されます。
しかし、この「力を抜く」という事が曲者です。
初心者は、「こんなに力を抜いているのに」とか、
「力を抜いたら動けない」などと思うものの、とりあえず
分かったような顔をして、釈然としないまま稽古に励みます。
余分な力、必要のない筋緊張に気づくには、それなりの練習と
時間が必要です。
稽古を始めて1年か2年して、見る目が出来てきて、
そして、太極拳の技で人を相手に稽古するようになると、
力を抜くという事の必要性が身に染みてきます。
少しでも余分な緊張があれば、技が効きません。
一歩動くにしても、軽やかには動けません。
余分な力の入っている身体は、動く際に予備動作が山盛りです。