2014年11月09日
太極拳の歴史など
太極拳と言っても、1つではありません。現在、いろいろな太極拳が世界中で行われています。しかし、そのすべては中国の河南省陳家溝を起源とします。陳一族の間で行われていた武術が、世代を重ねるうちに進化して独特の型が作られて行った~という説もあります。陳一族の間で太極拳が練習されていたという事ははっきりしていますが、誰が太極拳を創始したかについては、諸説あります。この方面は、新しい資料の発見などもあり研究が進んでいるようです。
太極拳は陳一族の間で門外不出の武術として伝承されていました。太極拳のうわさを聞きつけて習おうとして来ても、一族の者以外では習う事はできませんでした。しかし、ある時、楊露禅という男が太極拳を学ぶことが許されるようになりました。これが楊式太極拳の始まりです。
その後1928年ころ、陳発科が北京に出て太極拳を指導するようになりました。これが現在中国で行われている陳式太極拳の元になっています。その後、多くの達人・名人が出て新たな工夫を加えて、新しい太極拳を創始していきます。それが、孫式太極拳や呉式太極拳です。双辺太極拳もそうして生まれた太極拳です。南京中央国術館館長の陳泮嶺(陳式太極拳の陳一族ではありません)が形意拳・八卦掌の要素を取り入れて創出したものが双辺太極拳です。
ここまでは武術としての太極拳の話です。民間で独自に発達していった太極拳とは別の流れが生まれます。1950年代に、太極拳の健康効果に目を付けた時の政府が、中国人民の健康増進の為に楊式太極拳をベースにして、習いやすく短く簡略にした太極拳を作ります。これが簡化太極拳、いわゆる24式太極拳です。こちらの太極拳はむろん殺敵の為の技術ではないので、健康法としての道を歩みます。
その後、48式太極拳42式太極拳などが創出され、制定拳というジャンルは発達していきます。
制定拳は今や、スポーツとしての一分野を確立しています。新体操やフィギュアスケートと同様に、点数をつけて競い合う、という大会も開かれています。競技の頂点に点数をつけて競う、という事が出来た結果、多少健康法とは離れた部分も出てきます。高得点を得る為に、無理に腰を低く落としたり、足を高く上げたりと、いう方向で練習が進んで行ってしまう事も起きてきます。普及と引き換えに失ったものも少なくはありません。
多くの方が認識している太極拳は、ほとんどが制定拳です。それに対して、武術としてのありようを守ったまま稽古と伝承を続けているのが、民間で行われている伝統拳です。
伝統拳と制定拳は同じ太極拳の名の下でも、全く別物という事ができます。
例えば、先日、太極拳練習者を対象にした講習会を行った時の事です。ほとんどの方は制定拳の練習者でした。試に1つの質問をしました。舌を上顎につける、という事を習いましたか?と問いました。
答えは驚くべきことに、30人ほどの中で2名だけが知っていたにすぎませんでした。
舌の操作というのは、入門して最初の稽古で教えるものです。基本であり、口伝の1つです。そうする事を教えるのは基本ですが、何故そうするかという核心的な事は口伝なので、初心者には教えないのです。それでも、そうしていると丹田に力が入りやすい、首が伸びる等普通に良い点が多々あります。
それが、先日質問をした方々には欠落している事は驚きでした。
むろん、24式太極拳の武術的運用を考えたりする方もいるようですし、伝統拳でも形骸化した練習を繰り返している場合もあります。制定拳と伝統拳はどちらが良いというものではないので、太極拳を学びたい方は自分の目的とするところを明確にしておかないと、いらぬ回り道をすることになります。その上、師と弟子の出会いは1つの縁なので、自分が考えているようなものが習えるか否かは普段の心がけだけではないようです。それでも、自分が入門しようとしている太極拳教室や道場がある時には、先生の拳法上の系譜は知っておくと良いでしょう。
太極拳は陳一族の間で門外不出の武術として伝承されていました。太極拳のうわさを聞きつけて習おうとして来ても、一族の者以外では習う事はできませんでした。しかし、ある時、楊露禅という男が太極拳を学ぶことが許されるようになりました。これが楊式太極拳の始まりです。
その後1928年ころ、陳発科が北京に出て太極拳を指導するようになりました。これが現在中国で行われている陳式太極拳の元になっています。その後、多くの達人・名人が出て新たな工夫を加えて、新しい太極拳を創始していきます。それが、孫式太極拳や呉式太極拳です。双辺太極拳もそうして生まれた太極拳です。南京中央国術館館長の陳泮嶺(陳式太極拳の陳一族ではありません)が形意拳・八卦掌の要素を取り入れて創出したものが双辺太極拳です。
ここまでは武術としての太極拳の話です。民間で独自に発達していった太極拳とは別の流れが生まれます。1950年代に、太極拳の健康効果に目を付けた時の政府が、中国人民の健康増進の為に楊式太極拳をベースにして、習いやすく短く簡略にした太極拳を作ります。これが簡化太極拳、いわゆる24式太極拳です。こちらの太極拳はむろん殺敵の為の技術ではないので、健康法としての道を歩みます。
その後、48式太極拳42式太極拳などが創出され、制定拳というジャンルは発達していきます。
制定拳は今や、スポーツとしての一分野を確立しています。新体操やフィギュアスケートと同様に、点数をつけて競い合う、という大会も開かれています。競技の頂点に点数をつけて競う、という事が出来た結果、多少健康法とは離れた部分も出てきます。高得点を得る為に、無理に腰を低く落としたり、足を高く上げたりと、いう方向で練習が進んで行ってしまう事も起きてきます。普及と引き換えに失ったものも少なくはありません。
多くの方が認識している太極拳は、ほとんどが制定拳です。それに対して、武術としてのありようを守ったまま稽古と伝承を続けているのが、民間で行われている伝統拳です。
伝統拳と制定拳は同じ太極拳の名の下でも、全く別物という事ができます。
例えば、先日、太極拳練習者を対象にした講習会を行った時の事です。ほとんどの方は制定拳の練習者でした。試に1つの質問をしました。舌を上顎につける、という事を習いましたか?と問いました。
答えは驚くべきことに、30人ほどの中で2名だけが知っていたにすぎませんでした。
舌の操作というのは、入門して最初の稽古で教えるものです。基本であり、口伝の1つです。そうする事を教えるのは基本ですが、何故そうするかという核心的な事は口伝なので、初心者には教えないのです。それでも、そうしていると丹田に力が入りやすい、首が伸びる等普通に良い点が多々あります。
それが、先日質問をした方々には欠落している事は驚きでした。
むろん、24式太極拳の武術的運用を考えたりする方もいるようですし、伝統拳でも形骸化した練習を繰り返している場合もあります。制定拳と伝統拳はどちらが良いというものではないので、太極拳を学びたい方は自分の目的とするところを明確にしておかないと、いらぬ回り道をすることになります。その上、師と弟子の出会いは1つの縁なので、自分が考えているようなものが習えるか否かは普段の心がけだけではないようです。それでも、自分が入門しようとしている太極拳教室や道場がある時には、先生の拳法上の系譜は知っておくと良いでしょう。