2015年03月06日
リズムを刻む心意六合拳
形にもよるのですが、心意六合拳では、初心の段階では「タッ・タ・タン」というリズムで動いている事が多いようです。手と足が同時に至るので、例えばある形の場合は、
1.最初のタッでまず左足を半歩軽やかに出し、同時に左手を肩の高さに差し出します
2.次のタは素早く右足を左足の半歩前に出し、右手を頭の周りを回して、顔の右横に持ってきます
3.最後のタンで右足をさらに踏み込み、発力しつつ両掌の攻撃を相手の胸に決めます
1・2の段階で相手に接近したり避けたり最初の攻撃を入れるなどしています。
2の段階では素早く足を動かす事が求められますが、右手は足と同時に動かないといけませんので、長く動く分、足よりもかなりのスピードが要求されます。
1・2・3の どの段階でも手と足、肘と膝、肩と股関節の動きが協調するように意識しています。
ですから 0.何秒かの間に、身体の数か所に意識が行くように訓練をしている訳です。
さて、少し練習が進むと、タッ・タ・タンのリズムが、タ・タンに短縮されます。同じ動きと段取りですが、動きを早くすることが出来るようになります。これは、初心の段階で、肘膝体幹など要所要所の動きを先生の言う通りに行う事で、軽やかに早く動けるようになるからです。最初からスピードを求めて徒に早く動こうとすると、ただただ忙しい動きになります。手足肘膝の正確な軌道や正中面での動きを意識する事で初めて軽やかに早く動け、そして力強い打撃を得ることが出来るようになります。
実用に近い動きでは、型どおりに動いたとしても、タッ・タ・タンのリズムがタンの一動作に集約されていきます。その短い時間でも、今までの練習の成果で瞬時に身体の各所のチェックとコントロールが半ば無意識に行われています。ですから、身体の中は圧縮された動きで、高圧の塊のようになります。
こうした状態ですので、例えば、距離の関係で掌ではなく、肘が当たったり肩が当たったりしても、そこから力を発することが出来ます。技自体が、拳で打つとか肘打ちをするという単品の練習ではないので、容易に変化が出来て自由度が高い攻撃ができる訳です。
私は音楽の方は聞くのは好きでも、何の楽器もできず、歌もうまく歌えません。リズム感も無い方なのですが、それでも、武術の練習では、リズム感を持って稽古を積む事で流れが滑らかになり疲れにくくなっていくようです。
Posted by 渡辺克敬(わたなべ かつゆき) at 23:39│Comments(0)
│心意六合拳