2017年10月18日
按(掌打)あれこれ
掌で胸部を打つ技は、太極拳や形意拳などの内家拳で多用される技です。
打つ部位は左右の乳の間のツボ「膻中」や、乳の下の「雁下」など
打たれると内臓にダメージが起こる部位です。
また内家拳の、力を浸透させる打ち方が出来ない段階でも、
ある程度の訓練を積めば、相手を面白いように飛ばす事ができます。
太極拳の使い手のエピソードで相手をふっ飛ばしたというのは、
良くある話です。
先生が弟子に怪我をさせないように、飛ばすことで技を教えるなど
内家拳では用途の広い技が、按です。
他流の人と交流する時にも、相手の身体に力を浸透させないようにして
後方へ飛ばせば、十分な攻撃になる上に、相手はダメージを追わないで
済みます。その上、相手も飛ばされた位では、あまりプライドも
傷つかないので、良いことが多くあります。実際に外で使う場合は、道路や
川、壁に向かって相手を飛ばすことで良い攻撃になります。
空手やボクシングの人は、掌で相手を飛ばすという発想があまりないようです。
強力な打撃を相手に叩き込んで、その部位を破壊するという発想のようです。
空手では掌底という名前で、掌の付け根を使った強力な打撃があります。
しかし、やはりこれは空手の技であり、按や劈のような中国拳法の掌打とは
趣が違います。武術により、戦略や戦術が違うために、具体的な技も
似ているようでかなり違うものです。いろいろな武術の技術を知ることも
楽しいことです。
Posted by 渡辺克敬(わたなべ かつゆき) at 02:03│Comments(0)
│手の形・掌打