2015年04月23日
太極拳と足裏
太極拳の足の裏は掌同様重要です。体重をかける場所、足裏での体重移動など、見えない所での難しい練習があります。私が太極拳を習い始めた時には、まず、指示の無い時に足を動かさない事が徹底されて仕込まれました。定歩で上半身の動きがメインの時に、少しでも足を動かしようものなら、「ちょろちょろ足を動かすんじゃない!」と厳しい言葉が飛んできました。
方向転換の為に足を動かす時には、この時は拇趾の付根で回る、この時にはかかとの1点で回る、と決まっていました。もちろんその時には、正中線・重心の移動が伴っていました。
足の裏の重心を落とす場所は、拇指の付根、爪先立ちする時に重心のかかる場所です。そうは言っても、足の裏全体は地面にベタッとついています。足全体が地面に沈み込んでいつつ、拇指の付根にスパイクが付いている感覚です。太極拳や站の練習でうまく放鬆が出来て運気が出来るようになると、重心のコントロールが出来るようになります。更に熟達すると、重心が足の裏から地面に落ちていく感覚が分かるようになります。この為には、足の裏の使い方を練習しないと習得に時間がかかったり、習得が出来ないままになります。その為に、型練習の際に足の指を一定期間特別な使い方をして、足裏の感覚を磨いたりします。こうした練習を積んでいくと、身体の中で大きな力が足~体幹まで通った状態が維持できるようになります。
この状態で、相手を押せば軽く押しても相手は飛んでいきますし、相手の攻撃も無造作に落としたり払えるようになります。手指・掌や足趾・足裏の使い方というのは地味ですが、とても大事なものです。
こうした事は武術関連の本には載っておらず、情報としてもあまり流れていない事から、口伝的要素が強い物かと思います。例外としては、古武術の甲野先生が手指の使い方と、大きな力の出し方について、惜しげもなく講習会で指導していました。
太極拳は歩み足、八卦掌は平起平落、形意拳は跟歩など色々な特徴があります。その練習の奥にある本質的なものは何か、この時の足裏の状態は・重心の状態はと、考えながら行う事で良い稽古が出来るかもしれませんね。
Posted by 渡辺克敬(わたなべ かつゆき) at 23:21│Comments(0)
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