2015年04月04日
ふれあい太極拳
太極拳は、真綿で針を包んだような、と表現されることがあります。一人稽古の型練習はもちろんですが、対人練習でも柔らかな動きが要求されます。一般的に行われている推手でも、相手と接触している手首はもちろん、全身を柔らかく使う必要があります。感覚的には、上肢・下肢が指で体幹が掌というイメージです。全身を柔らかく使うというのは、イメージの上では全身を手のように器用に柔らかく使う感じです。
対人練習で、相手の拳による攻撃をさばく練習でも、やはり柔らかい動きが要求されます。相手の手を弾き飛ばすのは簡単ですが、それですと、相手は同じ事が繰り返せるので、伸展の無い受け技になります。太極拳では、まず相手に接触したら、そのままくっついているようにします。その為には、相手の攻撃は、受けるというよりは、相手に触れるというようになります。具体的には、歩法を使い動きながら、優しく相手の腕に触れるようにします。相手の腕のうちでも、肩・肘・手首など触れる場所は決まっています。その場所は、相手を崩すのに適した場所です。軽く触れられた状態ですと、相手の無意識の反応が無くなります。相手の腕を強く押したりすれば、相手は無意識のうちに払いのけたり弾こうとします。しかし優しく相手に触れていると、相手は瞬間的な反応はせず、容易に接近できます。
太極拳は柔らかく優しく相手に負担をかけずに、接近するのです。そして最後の瞬間に酷い事をする訳です。たとえは悪いですが、結婚詐欺のようなものですね。
もちろんそうした事は、ごく短時間で行われます。推手のようなことを長々とやっているのではありません。一般の人が見れば、空手やボクシングも太極拳も同じように見えるかもしれません。
極一瞬の動きの為に、型稽古や推手や数多くの対人練習があるのです。身体の本質的な使い方や相手との位置取りが大事なのです。太極拳をやっている人でも、この認識がないと、型の段取り通りに受けようとして、ひどい目に遭う事になります。
最後にはどの武術も格闘技術もひどい事をするのですが、太極拳は最後の直前まで、優しく軽やかにという所が、たちが悪いというか、難しい所であります。
Posted by 渡辺克敬(わたなべ かつゆき) at 00:19│Comments(0)
│太極拳、武術関連の話題