2015年02月11日
太極拳の手の形、しっかり作ってレベルアップ
太極拳の型では、拳も多用しますが、掌を使った技が圧倒的に多いものです。武術の経験のない方は拳の方が圧倒的に破壊力があって、強いと思うかもしれませんが、人の身体を打つ場合は掌を使う方が大きなダメージを与える事が出来る場合が多いものです。その他にも太極拳では、相手を引っかけたりからめたりしながら打つ事もあるので、手を開いている方が何かと便利な事もあります。
さて、初心者に太極拳の掌の形を教える時には、まず、余分な力が入らずに気の通りが良い形と指の操作を教えます。掌全体としてはミカンを掌においてあるように、掌の真ん中を少しくぼませるようにします。拇指と示指の間は丸くなるようにします。これは虎口といって、太極拳をやる方はご存知かと思います。掌は軽く開いて示指のみに軽く力を通すようにします。腕は示指を中心に回転させるので、軸を作る意味と、示指に軽く力を通すようにすることで、余分な力を抜く練習をする事が目的です。数か月か1年ほどはこの要領で練習を続けます。拳にしたり鉤手にしたりする以外は常にこの手を心がけます。手関節を曲げる動きは形が崩れがちですが、そうした時にも力まずに形を維持します。条件に関わらずその形を取る事が練習になるわけです。
この時点では、まだ気の通路が出来ただけ、下地が出来ただけです。その後、気が通る腕と掌を作っていきます。今度は、拇指に力を通して体幹の気を呼び込めるようにします。今度は示指ではなく拇指の角度と力の出し加減で力時の出る掌にします。同時に、5本の指すべてについての使い方を練習していきます。この時点では太極拳の練習は型練習だけではなく、対人練習も行うようになります。
掌の使い方は型練習だけでは習得が難しいものです。例えば、掌で人を打つ時にどこの部分が当たって、インパクトの瞬間にどのように掌を操作するか、そうした使う事の必然性があって初めて上達します。掌の当たる部分というのは、拇指球から手根部小指球の下部へ続くJの字の部分です。ですから、例えば排打功などの練習をすることで、打つ方も良い練習になります。人の体は意外に丈夫なので、しっかりと手の形を維持して内側からも張る感じを維持しないと自分の手が痛いことになります。対人練習で得た経験を型練習に生かす事で、型練習がより良いものになります。
Posted by 渡辺克敬(わたなべ かつゆき) at 23:17│Comments(0)
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