2015年02月05日
知っておくと便利な太極拳の解剖学…骨盤
骨盤は左右の寛骨(腸骨・坐骨・恥骨で構成される)と仙骨・尾骨で出来ています。
左右の腰に手を当てると腸骨の上縁(腸骨稜)に当たります。腸骨稜に沿って掌を前に移動させると、腸骨の前面の突起に当たります。これが上前腸骨棘です。これは丁度ズボンの横のポケットに半分くらい手を入れると当たります。骨のでっぱりのような感じなので、ほとんどの人で分かると思います。
この骨盤の前のでっぱり(上前腸骨棘)は太極拳の腰の動きを見る良い指標になりますので、覚えておくと便利です。
骨盤の上縁を後ろにたどっていくと、上後腸骨棘という小さなでっぱりがあります。後ろのでっぱりは、前のでっぱり(上前腸骨棘)ほどはっきりしていません。この骨盤の後ろのでっぱりの内側に仙骨があります。ですから、この後ろのでっぱりの内側が 仙腸関節 です。
さて、これで主な キーワードが揃いました。
骨盤の前のでっぱり(上前腸骨棘)
骨盤の後ろのでっぱり(上後腸骨棘)
仙腸関節
それと、椅子の座る時に、座面に当たる左右のお尻の骨のでっぱりが坐骨結節です。
上半身では肩甲骨を意識して腕を動かすと動きが良くなります。手の動きは肩甲骨から力が流れるようにします。そして、肩甲骨と骨盤は連動します。
太極拳では、腰を引いたり進めたりしつつ、体重移動を伴って技を行います。腰の動かし方は流派によって違いますが、内家拳ではそれ程の違いはありません。まず、腰は水平には回さずに、縦に動かす感覚です。身体を縦に分割して、①背骨②右半身③左半身 と意識して動かします。ですから、例えば右半身を後ろに引いた時に、右の腰を回して左半身の領域に入ってはいけないわけです。
ここで、先ほど話した仙腸関節や坐骨結節が出てきます。例えば、右半身の後ろへの体重移動は、右の坐骨結節が右の踵の上に来るようにします。この時、仙腸関節を境に、右寛骨が真後ろに下がります。寛骨の動きが左右にぶれてはいけません。体重を前に移動して突いたりするときには、骨盤をたわめるようにして左右の寛骨を前に進めるようにします。イメージとしては下敷きをたわめる感じです。この時もやはり、左右の寛骨を仙腸関節で分離して1つ1つを独立させて動かす感覚が必要です。手を動かすような感覚で、寛骨や仙骨を動かす事が出来れば、動きの質が変わってきます。
緩めた仙骨の威力 : 站椿の要領で立ちます。その時、特に左右の仙腸関節を意識します。そして仙腸関節周囲の筋を緩めます。うまく筋肉が緩まない時には、わざと少し力を入れて抜く、入れて抜く、を繰り返してください。そうして仙骨周囲が柔らかくなり、仙骨が独立して存在している感じになります。これで準備が出来ました。左右の手首を誰かに握って動かないようにしてもらいます。そうしたら、自分は、ゆっくりと仙骨のリラックスした感じを味わいつつ掴まれた両手を目の前に挙げていきます。
仙骨の周囲が緩んでいると、相手が強い力で握ってきても、軽く腕を上げる事が出来ます。仙骨の状態を変えていくつかのバージョンで試してみてください。得るものが多いと思います。
Posted by 渡辺克敬(わたなべ かつゆき) at 23:39│Comments(0)
│太極拳の解剖学