2022年10月09日
バランス感覚と正中線
諸般の事情でバランス感覚が低下している60代男性Sさん。
太極拳では蹴りの動作以外にも片足に全体重をかける動きが
頻繁に出てきます。そこで色々と細かい注意をして練習してもらいました。
まず足の裏の重心を把握する。
拇趾の付け根、小趾の付け根、踵、の3点にしっかり荷重する。
その上で踵よりもつま先側にやや多く荷重する。
更に、小趾よりも拇趾側に少し多めに荷重する。
足裏の3点に十分に荷重した上で、拇趾に少し多めに荷重するという
事になります。これは太極拳の型稽古だけでは習得に時間がかかるので
站椿や気功のような足の動きがない練習で意識的に稽古してもらいました。
太極拳の型稽古で片足に全体重をかける時。
この時には、拇趾の付け根辺りから垂直に棒が立っていると想定して、
その棒の位置に頭を持って行くようにします。バランス感覚のいい方は
自然に行っている事ですが、それを「明確な意識」を持って行う事が
肝要です。
それを続けていると、正中線の感覚がだんだんはっきり自覚出来てきます。
具体的な視覚イメージを提示する事で、それが現実に作用するものとなります。
正中線や軸については、観念的なものや妄想にしかなっていない方もいます。
太極拳では、意念の力を実用的な道具に変換できなくてはなりません。
バランス感覚が悪いがゆえに努力をしたことで、上手く正中線の把握が出来ました。