腰は一身の主
寒くなりますと、腰の痛い患者さんが増えてきます。大人になると多くの人が腰痛の経験があると思いますが、とても辛いものです。
「腰」は「月」に「要」と書きます。「月」は身体を意味します。腰は身体の要、とても重要な部位、という事です。
身体を使う技術では、特に腰についての注意が色々とあります。手足の動きではなく、腰を意識した動きを求められる事が多く、「腰を入れる」「腰から動く」などという事は良く聞く言葉です。面白いのは、腰の位置についての違いです。いわゆる腰、というのはベルトで囲まれた周辺の事です。ところが、太極拳などでは、腰の概念がもう少し広がってきて、腰の動かし方に関しての注意は、背中の下半分くらいまでが含まれます。
右の腰を動かして~といえば、右骨盤と右背中半分位が含まれます。これは上下肢の動きがことごとく体幹部との連動を求められる事と関係しています。「小手先の技」という表現がありますが、まさに太極拳では小手先の技ではなく、腰や背中から力を発した技が求められるからです。競技射撃の人の中には、引金を引く指の動きを身体全体でコントロールする、と言っている人もいます。手足のような末端を動かす時にも体幹を意識する事で手の動きの調整が上手くできるようです。書道でも身体の重要性を説く先生もいます。その体幹部の中でも腰は重心がある場所ですし、丹田も腰と関係の深い部位です。やはり、腰は身体の要ですね。
以前、太極拳の練習で、腰を痛めました。当日はまっすぐ立つのも辛い状態で、1日活動することが途轍もない苦行でした。自分で鍼とテーピングをして家族にお灸をしてもらい、友人に筋肉の調整をしてもらい3日ほどで少し楽になりました。5分も座っていると、立った後は暫く腰が伸びない状態が少し続きましたが、1週間ほどで何とか無視できる程度の痛みになりました。その間もストレッチとトレーニングを継続して仕事も休まずに何とか乗り切りました。
その時の腰痛の原因は、睡眠不足による疲労と冷えであると思われます。疲れたり寒さが強い時に腰に負担がかかると、腰痛が起こりやすくなります。自分が腰痛が起きやすい状態にあると感じたら、動作や作業に注意が必要です。そして、もし腰痛が発症したら、速やかに治療を受ける方が被害を最小で食い止められます。まだまだ、これから寒くなります。ご注意下さい。
関連記事