太極拳と変形性膝関節症
膝の痛みは多くの原因で起こります。若い人であれば、スポーツ等で靭帯や半月板を損傷する事も稀ではありません。中年以降では膝疾患で最も多いのが、変形性膝関節症です。
変形性膝関節症は、軟骨の摩耗や関節の変形、骨棘の形成などが起こり、歩行時痛を主体とするものです。多くはO脚のように、膝が外側に向かって変形する内反変形になります。原因は明らかでない事が多いのですが、肥満や膝周辺の筋力低下などが原因と考えられています。
もともと大腿骨と脛骨は真っ直ぐ膝でつながっているのではありません。大腿骨と脛骨を結ぶ線は、180度ではなく膝で少し内側に入って175度くらいになっています。こうして股関節から足関節へ体重がかかる軸は、膝の中心を通っていく事になります。ところが、O脚のように膝が外に出ている状態ですと、膝関節の内側に体重がかかるようになります。そうした極端な状態が続くと膝関節の関節面にある軟骨が損傷していきます。その結果、痛みが出る、炎症が起きる、水がたまる等の症状が出てきます。
変形性膝関節症は初期のうちは、体重の減少や、筋力強化訓練、足底版の使用等で改善していきます。症状が進行すると、病院で手術を勧められるようになります。
膝の痛みは歩き方の改善と膝周辺の筋力強化でかなり改善するものです。膝の痛みを訴えている方に、体重のかけ方と歩き方を指導しただけで、かなり痛みは軽減します。痛みの多くが関節軟骨の摩耗と、その摩耗した部位への荷重によるものです。ですから、膝関節の荷重状態を変えて、本来あるべき膝の使い方にすれば良いわけです。その為に体の構造にあった歩き方と体重のかけ方を身につければよいわけです。大腿部前面に大腿四頭筋という筋肉があります。膝の痛みにかかわる筋力強化というと、四頭筋訓練と言って、膝の曲げ伸ばしで、この筋肉を鍛えていきます。しかし、四頭筋訓練は退屈なので効果が出るほどやるかたはあまり多くありません。太極拳は中腰の姿勢が多くまじめに取り組むと、知らず知らずこの四頭筋を鍛えることになります。また、足の動かし方は、つま先と膝の方向が一致しており、膝関節に無理のかからない動きになっています。という事は、普通に太極拳をきちっと練習すれば、変形性膝関節症に有効であるという事です。むろん、指導者のチェックが必要で、誤った体の使い方をしないように動きを確認してもらう必要があります。週3日以上、1日に15~20分ほど練習をすれば、1か月で効果が出てきます。変形の程度・症状にもよりますが、3か月頑張れば筋肉の状態も明らかに変化しますので、歩行状態が良くなります。ただ、難しいのは練習を継続することと、良い指導者を見つけることです。
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