動きの支点が大事 : 指先の操作で、肩甲骨が動き出す!
指先を上にして、掌を自分の方に向けて、顔の高さに立てます。掌は顔から 30~40センチ程離しておきます。ここで、示指の先端を空中の1点に止めたまま、手関節を外に回すようにして、掌を反対側に向けます。丁度、掌の前に小玉スイカ位の球体があって、その周囲を掌が撫でるように回します。この時のポイントは肘を落としたまま行う事です。このように動こうとすると、肩から背中にかけて何かが動いたように感じます。これは、双辺太極拳の単鞭の動きです。手関節と指先の動きを操作する事で、自然と肩甲骨が動くようになっています。直接指導者に習わないと難しいかもしれませんが、感の良い方なら何回か練習すれば、分かる感覚です。この単鞭の動きは結果として、腕が背中から伸びていく事になり、
体幹と上肢が肩甲骨の動きで一体になって力が出しやすくなるのです。
太極拳の動きは身体のどこが止まって、どこが動くかがとても大事になります。空間に指先や手関節・肘などがどのような軌跡を描くか、それを明確に意識して行う事で気の流れを誘発する事になります。太極拳を稽古して思うのは、物理や数学の図形です。学問では平面に様々な図形を描いて位置関係や力のベクトルを考えていましたね。それと似たようなことを3Dの空間でやっているのが太極拳です。なかなか動かすのが難しい気を、動かすことが可能な身体の動きで誘導しようとしているのです。手と足を意識して同時に動かしたり、手首足首に紐が付いているように動かしたりしていると、身体が大きな→矢印を幾つか創っている感覚が出てきます。そうした感覚が身体感覚として分かってくると、内家拳の力は、ただ力任せではなく、全身の協調力で生まれる大きなエネルギーのような物と思い至ります。
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