含胸抜背の機能性

渡辺克敬(わたなべ かつゆき)

2022年08月10日 16:55



 
































含胸抜背という言葉は、太極拳をやっている方なら
1度は聞いたことがあるかと思います。
流派や先生によって、重要度やその形・作り方には
多少の違いはあるかもしれません。

参考までにうちの流派では。
まず、胸含抜背は無理に作るものでは
ありません。適切に型稽古を行っていくと、
技が終わった時には、自動的にその姿勢になっている
というものです。
 
例えば、双按の場合。
前に出した左右掌で相手を打つ時に、示指先端を支点にして
手関節を回します。すると、余分な力が抜けていれば肩甲骨が
必要な動きを始めて、まさに含胸抜背という形になります。
無理にその形を作ろうとしても、力んで機能性の乏しい姿勢に
なるだけです。

上手くこの形を取る事ができると、上肢と身体の間に強い繋がりができます。
例えば、上の写真は鍛錬用の8kgの鉄棒です。
これを含胸抜背の状態であれば、手の上に載せてもさほど重さを感じません。
しかし、「今から鉄棒を載せるから」と言って手を出してもらうと、
もろに8kgの重さを腕で感じる事になります。
(上の写真が含胸抜背です。下の写真は普通の状態です。
下の写真を見ると、肘の辺りが力んでいるのが分かります。)

身体と上肢を上手く結びつけて、身体を機能的に使う方法の1つが
含胸抜背です。